「甘ーい」


鼻に指を突っ込みながら薄目であたしを見る沙耶。


一応女の子なんだからそういうのどうかと思うけど。


「甘すぎてうざいー」


「ってそういう事言わないでくんない」


あたしは睨んでくる沙耶を睨んだ。
こっちは悩んでるんだっつぅの。


あの1ヶ月以上付き合ってるあたし達の進展のなさにっ。


「えぇ?あんた等まだエッチしてないの?」


スナック菓子をボリボリ食べながら聞き返してくる沙耶。


そうさ。
してないさ。


「何でー?希の色気が足りないんじゃね?」


って失礼な。
あたしは沙耶を睨んだ。


「失礼」


そう一言言うと、沙耶は首を傾げた。


「何でだ?何で相良は手を出してこない」


それはあたしが1番聞きたいよ。
お互いの家に遊びに何回も行ってる。
キスだってたくさんしてる。
でも……それ以上はホントにない。


「あたし……付き合うの初めてだしさ。よく分かんないから。ねぇ沙耶。沙耶はどれくらいでエッチした?」


そう聞いてみると、沙耶は上を見上げてまたあたしを見ると、平気な顔で。


「その日?」


……は?
その日?


あたしは唖然として言葉を失った。