その後あたしと吉馬は2人並んで学校を出た。
付き合ってから、毎日こうやって吉馬と一緒に帰る。
方向も同じだからっていうのもある。


「ねぇ?吉馬」


「ん?」


あたしの呼ぶ声に首を傾げる吉馬。


今日……沙耶と話して、誕生日に頑張るって決めたんだもん。
よし!!


あたしは吉馬に見えないようにガッツポーズして顔を上げた。


「再来週あたしの誕生日なんだよね」


「そうなの?おめでとー」


あたしの言葉にふわりと笑って吉馬はあたしを見下ろした。


「うん。それでね?」


「うん?」


「誕生日……一緒に遊ばない?」


1年に1度の特別な日なんだもん。
やっぱり好きな人と一緒に過ごしたい。
吉馬と過ごしたいの。


「んー。再来週バイトかもしんないなぁ」


「え?」


こんな時にバイト!?
普通バイト後回しにしてくれるじゃんかよー。


ムッとして口を尖らせていると、そんなあたしに微笑みながら吉馬は頭を撫でた。


「でも、できるだけ入らないようにすっから」


そう言ってフッと笑った。


「うん……」


吉馬……。


あたしは心の中で名前を呼んだ。