「お言葉ですけど…何度も呼んだから!一人妄想の世界に入ったあんたが気付かなかっただけでしょ!」


「妄想じゃないもん!悩み事だもん!!」


そう言って、プィッと顔を背けた。


「ふぅ~ん。じゃあ、その悩み事って?」


「うん、あのね?あたしの王子様っていつになったら、現れるのかなって…」


「……ハァ~。どうせそんなことだろうと思った。王子様なんてそう簡単に現れるわけないでしょ!存在自体だって危ういし…って言いたい所だけど!」


「えっ、まさか王子様に会えるのッ!?」


「そのま·さ·か!今週の休み、一輝の学校で文化祭やるだって!だから、あんたを連れて見に来て欲しいってさっき電話で言われた。良かったじゃない♪また楓君に会えるわよ!」


さっきまでの満面の笑みは、彩花の言葉で徐々に険しくなっていった。


「……あたし、行かない」


「は?何で?」


「無理だよ…だって、男の人いっぱいいるでしょ?」


「そりゃ共学だもの!いるに決まってるでしょ。あんた、そんなんじゃいつまで経っても男嫌い直らないって言ってるでしょ?前の大会だって行かなかったんだし…」