誰も想像してなかった事態に相手は、悔しさを隠しきれないらしい。


立っていられず、泣き崩れるヤツもいた。


しかし、相手の一人が俺に近づいてくる。


そいつは、相手のエースストライカーだった。


「そんな作戦があったとはな…裏をかかれたよ。完璧、俺達の完敗だ。俺達に勝ったからには優勝しろよ?」


「あぁ、当たり前だ!」


俺達は、手を叩き合った。








そして、迎えた準決勝は、3‐0で呆気なく俺達の勝利に終わった。


そして、続く決勝戦に向け、俺達メンバーは細かな調整をしていた。


俺は途中でその輪から抜け出した。


やべっ、漏れる!


小走りでトイレに向かう。


「か…か、楓…君!」


ギリギリ間に合って、またグラウンドに戻ろうとすると、誰かに声をかけられた。


振り返って驚いた。


だって、そこにいたのは立川だったから。


「え…」


あの凄まじい男嫌いの立川が、話しかけてきていることに、俺は少しパニックを起こした。


「…あのっ!決勝戦…頑張ってね!あたし…あたしっ、応援…してるから!」


それだけ言うと、立川は走り去っった。