「あたし、楓君に与えられてばっかな気がする…」


たまにお前はそう言うけど、俺のこと全然分かっちゃいねぇな…。


俺は、美鈴が喜んでる所を見たいから、色んなトコに連れてったりサプライズしたりするんだぞ？


俺は、美鈴の笑顔が一番好きなんだ。


　
“俺が”、美鈴から与えられてばっかなんだよ。


「ホントバカだな～」


俺は必ずこう返す。


すると、お前はいつもちょっと膨れながらこう言う。


「え～、何でぇ？」


だから、俺はいきなり歩くペースを速めて、


「教えねぇよ！」


って叫ぶんだ。


こんなくだらないことですら、俺は幸せなんだ。


サッカーばっかに夢中になって、女のおの字も知らなかった俺が…


ここまで美鈴を好きになるなんて、誰が予想できた？


今まで女なんて興味の欠片もなかった俺が、付き合ってからもどんどん美鈴にハマっていくなんて誰も予想できねぇよな。


俺だって信じられねぇもん。


だけど、俺は美鈴が好きだってことは胸張って言えるぜ？


なかなか直接も間接もどっちでも言えねぇけど、いつだって頭の中はお前でいっぱいなんだ。