公園で、高校生に襲われた時…


あれがあたしのファーストキスだったんだ。


キスの中でも、きっと1番最悪なキス。


あたし、もう一生キスなんてしないまま終わるんだって思ってた。


だけどね…


楓君としたキスは、ホントに優しくて温かかったよ?


ビックリしすぎて一瞬何が起こったか全然分からなかったけど…


楓君の唇から、すっごく“愛”が伝わってきた気がした。


あたし達は、愛の言葉なんて囁けるほど器用な人間じゃないけど…


ちゃんと楓君の気持ち、伝わってきたから…


だから、もう不安じゃないよ?


無言のまま、楓君が手を引っ張って起こしてくれた。


「ありがと…」


あたしは小さく微笑みながら呟いた。


「……おぅ」


楓君はやっぱり横を向いていたけど、そう答えてくれた。


プルルル…プルルル…


2人の間に、携帯の着信音が鳴り響いた。


「…あ、俺だ。美鈴、ちょっと待ってて!」


「うん!」


少し話すと、楓君は携帯をしまってあたしを見た。


「一輝と彩花ちゃんがカラオケに行かねぇか?だってさ!駅前のカラオケにいるから早く来いって言われたんだけど!」


「何か2人らしい誘い方だね…あたし達に選択権ないじゃん(笑)」


「…ホントそうだよな。(笑)」