そして……


そっとキスをした。


俺にとって初めてのキスは、美鈴の涙の味がした。


ゆっくりと顔を離すと、美鈴は目を大きく見開いてポカンとしていた。


「……目閉じろよな」


何だか急に自分のしたことが恥ずかしくなって、今度は思わず俺が下を向いた。


その言葉に美鈴はバッと唇に手を当てて見つめてきた。


「…え?あの…えっと…?」


意味の分からない言葉を喋ったかと思うと、今度は急に顔を赤くした。


かと思ったら、いきなりその場に崩れた。


「わっ!ちょ、危ねぇ!」


すぐ手を伸ばしたけど、美鈴は尻餅をついた。


まじ俺、何でキスなんかしたかな?


もしかしたら、男嫌いなんだからキスも嫌だったかもしんねぇのに……


若干の後悔を胸に抱きながら、とりあえず伝えたかったことを口にした。


「あ、あのさ…俺は美鈴しか頭にねぇから。だから…色々心配すんな!」


自分のセリフがあまりにも恥ずくて、少しぶっきらぼうになってしまった。


けど、ちゃんと俺の気持ち伝わった?


なぁ、美鈴…


俺は本当にお前以外考えられねぇんだからな!