「こ、怖かった…」


一言そう言って、あたしは女の人の胸の中で泣きじゃくった。


しばらくして、高校生を取り逃がしたらしい警官が戻ってきてくれた。


「署に行って、親御さんに迎えに来てもらおう」


そう言って、あたしを女の人からバトンタッチしようとしたけど、離れたくなかった。


「男=怖い、強い、危険」



そんな方式が新たにあたしの中に出来ていたから。


結局女の人と一緒に警察署まで行くことになった。


迎えに来てくれたのは、もちろんママ。


その日から約2週間、家から出れなかった。


最初は、パパも怖かったけど、1ヶ月後には普通に話せるようになった。


昔から、優しいパパになついていたから普通に接することができたけど、他の男は前にも増して全くダメになっちゃって。


すれ違うだけでも鳥肌がたって、気分が悪くなる。


それは、高校生になった今でも変わっていない。


あの日から、あたしは優しくて頼りになる白馬の王子様的存在に憧れるようになった。










だから…


あたしは楓君に会えないんだ。