「名前だ、名前!立川恭介!」


「了解です、恭介さん!」


何だか、サッパリしてていい人だな…


やっぱり立川の親父さんだけある!


「うんうん、いいね♪あ…だから、美鈴のことも名字じゃなくて名前で呼べよな!親からの命令だ!」


…は、はい?


立川を名字じゃなくて名前で…?


え、超ハズイじゃん…それ。


…でも、“美鈴”って呼ぶのも悪くねぇな。


何かこう…付き合っちゃってますって感じ?(笑)


「ただし、来年になってからな!今年中は美鈴って呼んでいいのは、俺だけ♪」


「…ハハッ!分かりました!」


久しぶりのデートに会話の花が咲き、あっという間に到着したお寺。


沢山の人が行き交っていて、俺の心に後悔の念が生まれた。


普通に考えれば、このぐらい人がいるのは当たり前で…


その中には男がいるのも当たり前なわけで…


=この中に入れるわけがない


………よな?


ダメ元で隣に固まっているたちか…じゃなくて美鈴に聞いた。


「…この中、行ける?」


「…あ、うん!大丈夫だよ。」


「…ホント?」


予想外の返事に思わず聞き返す。