「ありがとうございます。」


少しはにかみながら、楓君が笑った。


あ、ちょっと可愛い…


じゃなくて!


「ママ、早くしないと12時になっちゃうから!」


「あら、残念ね~。ちょっと恭介!あなたも挨拶したら?」


パパが、ゆっくりと近寄ってきた。


楓君がさっきと同じように、挨拶をする。


「…………」


なのにパパは無言のまま、楓君をママ同様に舐めるように見つめた。


「「…………」」


一気に気まずい雰囲気に…


早く楓君と2人っきりになりたいのに~!


あたしが我慢できず、口を開こうとした時。


「…楓君。ちょっとこっちに来なさい」


楓君がパパに呼ばれた。


一瞬目が合ったけど、楓君は緊張した面持ちでパパについていった。


…パパ、楓君に何する気だろ?


一気に不安が襲う。


2·3分すると、2人が戻ってきた。


「じゃあ、楓君。俺との約束守れよ?」


「分かってますってば!」


何故か顔を少し赤くして、楓君が答えた。


満足そうに頷くパパ。


????


2人の間に何があったの…?


あたしはさっきとあまりに違う2人の様子に、思わず首をかしげずにはいられなかった。