「ホントッ?ママ、ありがとぉ!」


「ちょっ、真美!」


いきなりパパがママを引っ張って、何やらコソコソ話をし始めた。


「…美鈴のこと甘やかしすぎなんじゃないか?」


「何言ってるの!恭介の方がいつも甘いくせに!」


「そ、それは認める。だけど…彼氏だって所詮男だろ?何するか分からないぞ!」


「大丈夫よ!人多すぎて何もできやしないわよ!それに、ちょっとぐらい何かあったっていいじゃない♪」


「何かあったら困るだろ!真美…あのな、よく考えてみろ。美鈴は俺達の1人娘だぞ?」


「あら、いくら1人娘でも来年大学生になるのよ?ちょっとぐらい冒険しなきゃ!それに恭介だって、美鈴の彼氏見たいでしょ?」


「う…確かに。そこまで言うなら仕方ないか…」


クルッとあたしの方に向き直って、パパが口を開いた。


「美鈴、初詣がすんだらすぐ帰ってくること!1人で決して歩かないこと!これが守れるなら、行ってきなさい。」


コソコソ話していた内容は全く分からなかったけど、パパがそう言ってくれてそんなことはすぐ忘れてしまった。


「ヤッタァ!ありがと、パパ!すぐ楓君に電話しなきゃ♪」


あたしはすぐ2階に向かった。


「……楓と言うのか、美鈴の彼氏は…」


「そうみたいね。どんな子なのかしら?」


「チャラチャラしたヤツなら、俺は許さないぞ」


「あら、美鈴はあたし達の子だもの。きっとカッコイイ彼氏に決まってるわぁ♪今から楽しみね!」


「……えらい楽しそうだな、真美」


「ウフ♪そう見える?」


「あぁ、見える。」


あたしが去った後、パパ達がこんな会話をしてたなんて、もちろんあたしは知る由もなかった。