「ありがとうございました!」


そう言って出てきたのは、さっきのデブ男。


「お会計の方、失礼します。」


何気なく、デブ男のネームプレートを見ると…


┏━━━━━┓
┃店長 村田 ┃
┗━━━━━┛


とハッキリ書かれていた。


俺は、その村田さんに気づかれないように気を付けながら、立川をつついた。


「??」


不思議な顔で俺を見る立川。


「ネームプレート見て」


立川にしか聞こえないような小さな声で、耳元に囁いた。


チラッとネームプレートを見た立川は、すぐに俺の方を見上げた。


目が合ったけど、お互い何も言わなかった。


「え~、300円のお釣りになります。ありがとうございました~!」


素早くお釣りを貰い、俺達は無言且つ早足でそのカフェを後にした。


少し離れた所でようやく足を止め、俺達は目を合わせた。


「「…アハハハハハッ!!」」


我慢していた笑いが一気に溢れてくる。


「あの男が店長とかまじウケる!」


「もうショック通りすぎて、可笑しすぎだよ~!」


そう言うと、俺達はもう一度視線を合わせて吹き出した。