「…もしもし?」


『10…9…8…』


えっ!何?


イタズラ?


あたしは一度携帯を耳から離して、相手を確認した。


やっぱり楓君だ…


『…3…2…1…』


「???」


『…メリークリスマス!』


「………え?」


『…あ、ごめん。もしかして、迷惑だった?』


「ううん!ビックリしちゃって…」


『俺、なかなか寝れなくてさ…ちょうど時計見たら、12時になりそうだったから………もしかして、寝てた?』


「ううん!あたしも明日のこと考えてたら、全然眠くならなくて困ってた所だったよ!」


『そっか、良かった。初めてのクリスマスだし、こうゆうの立川好きかなって思ってさ…だから、何か用があるわけじゃないんだけど…』


「ううん!楓君、ありがとう!ビックリしたけど、すごく嬉しかったよ!」


『そっか!喜んでもらえて良かった…一瞬迷惑だったかと思った…』


「全っ然っ!そんなことないよっ!」


『…じゃあ、また明日…じゃなくて…今日な!…ってなんか変だな!』


「フフッ!ホントだね!また今日だね!」


『ハハッ!だよな!じゃあ、また後でな!』


「うん!」


電話、ホントビックリしたけど…すごく嬉しかった。


さっきまで、明日ちゃんと話せるかちょっぴり不安だったんだけど…


楓君の声を聞いただけで、早く会いたくなっちゃった。


楓君の言葉は、まるで魔法みたいに…あたしの心を温かくしてくれる。


恋をするってことは、男を好きになるってこととイコールで…


少し前までは、もっと怖いモノだと思ってた。


だけど…楓君は今では無くてはならない存在になっていて、恋をするってすごく素敵なことだなって思えるようになった。


そしてあたしは幸せな気持ちのまま、ゆっくりと夢の中に入っていった。