「あら~?せっかくお祝いしてあげてるのに、その言い方はないんじゃない?ねぇ~?」


彩花が一輝君に同意を求めた。


「ホント!せっかく協力してやったのにな~」


「……協力?」


あたしは再び首を傾けた。


「あ~、それはね…」


「ちょ、ちょっと待って!」


彩花が何か言う前に、楓君がそれを静止させた。


「……何よ?」


彩花が怪訝そうな顔で、楓君を見る。


「そ…そんな話より!2人でどっか遊び行ってこいよ!」


「…聞いた?一輝。あの楓君が美鈴と2人っきりになりたいみたいよ?」


「聞いた聞いた。付き合えるからって調子乗ってんじゃね?」


2人はヒソヒソ言い合ってたけど、あたし達には全部丸聞こえだった。


“2人っきりになりたい”


その言葉を聞いて、あたしは顔が熱くなるのが分かった。


「…行こうぜ、立川。」


楓君はもうウンザリって言う顔をして、あたしに言った。


「……あ、うん」


何かいつもと同じ様子の楓君。


それに比べて、あたしは恥ずかしさのあまり、今まで以上に何を話せばいいか分からなくなった。







結局その日は、どんな話をしたか分からないほど、いっぱいいっぱいのまま終了した。