「…あのさ」

「…あのね」


2人同時に話し始めちゃって、綺麗にハモった。


「…あ、何?」


「ううん…楓君、先いいよ」


「…あ、あのさ?」


「…う、うん」


「…立川覚えてないかもしれないけど…」


何だろう…?


前言撤回とか言われたらどうしよう?


「うん…」


「……え?」


「え?…あ、覚えてないってことじゃなくてっ!」


「…覚えてるってこと?」


「……その!つまりっ……………うん…」


「「………」」


「……じゃ、じゃあ~…」


楓君があたしの次の言葉を待ってる。


膝に乗せていた両手を、ギュッと握り締めた。


頑張れ、あたし!


「……あたしも」


「………え?」


「だから!…あたしも楓君が好き」


顔が真っ赤になるのがよく分かった。


「…ま、まじで?」


返事をすることすら恥ずかしくなって、首を縦に振る。


「……とゆうことはっ!」


…?


とゆうことは…?


あたしは首をかしげた。


と、その時…!


ガサッ!


「「…おめでとぉ―――!」」


「うわっ!」

「きゃっ!」


「…あぶなっ!」


グイッ!


「…あ、ありがとう」


…ハイ。


一応、今の一連を説明すると…


ベンチの後ろの茂みに隠れていた彩花と一輝君。


突然2人が出てきたことに、驚いたあたし達。


勢い余ってベンチから落ちそうになったあたしを、楓君が助けてくれた。


…ってわけ。


「…いきなり何だよっ!?」


楓君が、2人を睨んだ。