「もしもし?」


『あ、楓?…美鈴ちゃんってまじ面白いな!』


「……は?意味分かんねぇし!てか、電話なんかして立川にバレねぇのか?」


『あぁ。電話かかってきたって言って、ベンチで待っててもらってる。』


「…ベンチ?1人で、か?」


『…そうだけど?』


その瞬間、何だかすごく嫌な予感がした。


「…おい、一輝!立川、今どこにいる?」


『…え?さっきのレストランの近くだけど?』


ブチッ


「…わりぃ、彩花ちゃん!俺行ってくる!」


俺は、すぐに走り出した。


予感は的中し、立川が男2人にナンパって言うよりはさらわれそうになっていた。


「おい!そいつを離せよ!」


「…は?何お前?」


「…聞こえねぇのか?離せっつってんだろっ!」


怒りに任せてそう言うと、そいつらはあっさり逃げていった。


いきなり俺が現れたことで、立川は視線を逸らして下を向いた。


…あからさまにそういう態度されると、傷つくな~


切なくなったけど、何もなかったように俺は言った。


「あのさぁ、お前ナンパに会いすぎだろ!」


「…そっ、そんなことないもん!」


立川は顔を少し赤くして、ムキになりながらこっちを見た。