何で一輝君があたしとっ!?


…無理無理!絶っ対無理!


あたしは助けを求めるように、目で彩花に訴えた。


だけど、彩花はニッコリ笑って言った。


「ということは…あたしは、楓君とペアね!」


「…は?ちょっと待てよ!」


「はいはい。行くわよ!」


まるで反抗する子どもを、お母さんが無理矢理連れていくようにして、2人は去っていった。


「「………」」


暫しの沈黙が流れた。


そういえば…一輝君と2人っきりって初めてかも。


会うとしたら、必ず彩花と楓君がいたもんね。


ま…まさか!


彩花と一輝君、ケンカしたんじゃ…?


チラッと一輝君を盗み見る。


落ち込んでるようには見えないけど…


う~ん、何が原因なんだろう?


色々と妄想を頭の中で繰り広げていると、いきなり一輝君が口を開いた。


「…美鈴ちゃんさ、何か俺に聞きたいことない?例えば…」


…一輝君に聞きたいこと?


あたしは一輝君の言葉を最後まで聞かずに、口を挟んだ。


「彩花とケンカしたの…?」


最初は大声で言い始めたんだけど、だんだんと小さくなっていった。


「…え?」


ビックリして、あたしを見つめる一輝君。


何も言わない所を見ると、やっぱりそうなんだ…


今まで普通に見えた彩花が無理をしていたんじゃないかと思うと、無性に悲しくなった。


「…美鈴ちゃん?何で俺と彩花がケンカしたと思ったの?」


「…え?だって、いつもなら2人でどっか行っちゃうのに今日は別々だから…ケンカかなって思って…」


あたしの話を聞いた一輝君は、何も言わずに後ろを向いてしまった。