「…そんなに嫌なら、お前が立川の傍にいればいいじゃねぇか!」


『………俺じゃダメなんだよ』


「……は?」


『…俺さ、ブラジル行くことにしたんだ』


「……ブラジル?」


『あぁ。大学辞めて、留学することにした。』


いや、意味が分からないっつうの!


「……何で」


『敢えていうなら…みっちゃんの一番でいれたのは、15年前に終わってた…ってことだな』


「………じゃあ、何で俺に?」


『だから!何となくお前なら、大丈夫な気がしたんだよ』


「………」


『とにかく!頼むな?みっちゃん可愛いくせに鈍感だから、変な男につけ込まれやすそうだし?』


「……たしかに」


『……じゃあ、悪かったな。時間取らせて』


「……あぁ。」


『…おい!山本楓!』


「…何だよ?」


『ちゃんと俺の名前、覚えとけよ?近い将来、ウザイ程テレビに出てやるから。』


「…………分かった。覚えといてやるよ!荒井圭吾!」


『フッ。じゃあな!』


「…おぅ!」


俺がすげぇ~ムカつくと思ってたこの男…いや、荒井圭吾は…


何だかすげぇ~いいヤツで、俺には到底敵わないような心の持ち主だった。


…お前の分まで、俺が絶対立川を振り向かせてみせるからな!


すでに電話が切れた携帯を見ながら、そう強く思った。