「…美鈴?何かあったんでしょう?」


「………」


あたしは何も言わずに、首を横に振った。



他人から見たら告白されたことなんて、大した問題じゃない。


だけど…あたしは違う。


当時中学生だったあたしの心に、深い深い傷と恐怖を残した。


圭君の告白で、閉じたはずの傷が再び開いちゃったんだ。


それは圭君のせいじゃないし、第一圭君は悪い人じゃない。


それが痛いほど分かっているから、余計どうしたらいいか分からなかった。


ママ達もそれが関係していることが分かってるから、こんなに心配してくれるんだと思う。


だけど、いつまでも心配をかけてちゃいけない。


そう思ったからこそ、何も言わなかった。


だんまりを決めこむあたしに、ママは静かに言った。


「……話したくないなら、それでもいいわ。でもママも、もちろんパパだって、あなたの味方だから。それだけは覚えておいてね。」


ありがとう…ママ、パパ。


こんなに手がかかる娘で、ごめんね。


だけど、これはあたしの問題。


ママ達に不安を与える要素を、増やさせるわけにはいかない。