家に入った後も、さっきのシーンが頭に何度も流れてきて落ち着かなかった。


…何で、男嫌いなあたしを好きになったのかな?


その前に…本当に圭君は、あたしが好きなのかな?



夕飯もろくに食べることができず、すぐ部屋に戻ってボーッとそんなことを考えていた。


コンコンッ


「美鈴?入っていい?」


ドアの向こうから、ママの声が聞こえた。


「……どうぞ。」


ボンヤリしたまま返事をする。


ガチャッ!


「美鈴、具合でも悪いの?」


心配した顔で入ってきたママの後ろには、同じく心配しているパパの姿があった。


二人の心配した顔を見た途端、何故か泣きそうになった。


「大丈夫だよ。心配かけてごめんね」


「…何か悩み抱えてるんじゃないのか?」


パパは扉に立ったまま、控えめに言った。


あ…あの時と同じ。


高校生に襲われた時も、パパはこんな風にあたしを気遣いながらも心配してくれたっけ。


「…ホントに何でもないよ」


それを思い出し、二人にこれ以上心配かけたくなくて無理して笑った。


「…恭介、ちょっと出てってちょうだい。」


ママがパパにそう言うと、パパはあたしを1回見てから静かに扉を閉めた。