「ハァ~~~」


俺は、何回したかも分からないため息をまたした。


「…お前、1分間に何回ため息つけば気がすむんだよ?」


隣にいた一輝が、俺を睨む。


「だってよ~、いきなり抱き締めたのは悪いと思うけど…突き飛ばすことないだろ?思いっきり拒否られたし…俺、立ち直れねぇ~…ハァ~~」


極度の落ち込みように、一輝も呆れるばかり。


一輝はいいよなぁ~


好き合える彼女がいてさぁ~


俺なんか好きなヤツに、『イヤッ!』って言われたってゆうのに…


世界は、不平等だよな~


そう思っていると、一輝に電話があった。


「おっ!彩花だっ♪」


携帯のディスプレイを見た一輝は、一気に笑顔になった。


くそっ、噂をすれば彼女かよ~


今の俺は恐ろしいことに、世界中のカップルの不幸を願わずにはいられなかった。


少し話をしたあと、一輝は俺に携帯を差し出した。


「はいっ♪」


「…は?何?」


「彩花がお前と話したいんだってさ!」


「な、何で彩花ちゃんが一輝の携帯で俺に話?」


意味が分からない俺は、言葉までチンプンカンプンになってしまった。