コンコン

ノックの音が聞こえてみんなが顔を見合わせる。

私はちょうど立っていたのでソッと扉を開けた。

「あ…優梨ちゃん…だよね?」

同じ学年の女の子。

「うん。どうしたの?」

「弘樹くんいるかな?」

「いるよ。弘樹!」

弘樹がこっちに来る。

「どうした?あ…え〜っと、吉井さん?」

「覚えててくれたんだぁ!」

「もちろん」

「あの…ちょっといいかな?」

「いいよ」

弘樹は吉井さんと出て行く。

「弘樹モテるな〜」

崚馬はニヤリと笑ってそう言う。

「お前が教室ででかい声で直接チョコなんて渡されても困るっつったおかげで今年はあんま生徒会室まで渡しに来なくなったな」

「去年は生徒会室に来たんですか?」

「もう大変だったよ〜。俺ら基本ここにいるから、みんなここにチョコ渡しに来て…」

「ずっとノックの音聞こえるしここから出れなかった」

「誰だか全く知らないやつに渡されても困るっつーの」

「すごい…」