「優梨!のこってろっつったろ!借りてくぞ!」

拓海くんは私の腕を引っ張って走る。

「ごめん!生徒会!先に帰ってて!」

私は拓海くんに生徒会室に連れて行かれた。

「やっと来たか」

「よしっ拓海と優梨ちゃんの歓迎会をしよう!」

「マジっすか!」

「んじゃ龍治のおごりでカラオケだな!」

「えぇっ!」

不良って怖いイメージしかなかったけど楽しいな。

私はつい笑ってしまった。

「お前意外と可愛いじゃん」

拓海くんは少し顔を赤くしながら言う。

「意外とってなによ!」

「優梨ちゃんは笑顔が似合うよ」

龍治さんはそう言って微笑む。

「ありがとうございます」

「行こうぜ!」

「ていうか拓海くん!仕事じゃないの?」

「生徒会が仕事なんてするかよ」

「えぇっ?」

「俺と一緒にいれんだからいーだろ」

「私彼氏いるんですけど…」

「…高津遊助のこと?」

「なんで知ってるの?」

「真理子が言ってたよ。高津遊助は優梨より真理子のことが好きなんだって。夜デートしたらしいぜ」

「真理子…?」

「小学校が一緒だったんだって」

「嘘…」

「なんだよそいつ。浮気してんの?」

「慎司は直球だなぁ」

「よしっ俺らがしめてやる」

「いいです!大丈夫です」

私はカラオケに行ってもどこか上の空だった。

「お前大丈夫か?」

南雲さんが心配そうに私の顔を覗き込む。

「はい」

私は笑顔を返した。

南雲さんはじっと私を見つめている。

「無理すんな」

南雲さんは私をふわっと抱きしめる。

妙に安心した。

「おい!いちゃついてんじゃねぇ!」

拓海くんがマイクを通して叫ぶ。

「俺、こいつ送ってくゎ」

「優梨ちゃん気をつけてね!襲われないように」

「なんもしねぇよ!」

私は南雲さんに肩を抱かれながら帰り道を歩く。

途中にある公園でカップルらしき2人が抱き合っている。

私は思わずカバンを落とした。

「うそ…」