「俺は…」

慎司は今にも泣きそうな声で言う。

「慎司…?」

「俺…まだ優梨のことが好きだ…。諦めたいよ…崚馬の女だし…。でもどうしようもないくらい好きなんだ…。だからこうやって崚馬と優梨がギクシャクしてると…また奪いたくなっちまって…。俺なら…こんな思いさせないのに…俺なら絶対幸せにできるのにって思って…。崚馬がちゃんと優梨のこと幸せにできてたら…俺は何も言わないのに…」

「慎司…ありがとう…」

「なんで優梨が泣いてんだよ…。俺の前で泣くなよ…。抱きしめたくなる…」

「ごめん…」

「早く仲直りしろよ!」

慎司は笑顔でそう言って私の頭を撫でると歩いていった。