弘樹は沙羅が持ってきたものを凝視している。

「ハンバーグだよ」

私も弘樹も唖然としてしまった。

この真っ黒いものが…?

「味見してたらカレー食えなくなるし…な?」

私に振らないで!

「うっうん」

「食べてくれないんだ…じゃあね」

沙羅はしょんぼりしながら帰っていく。

「優梨!飯炊かねえと!」

拓海くんが走ってくる。

「うん!」

私たちは水道場に言って米をとぐ。

誰もいなくて静かだ。

「優梨…」

拓海くんが突然後ろから抱きついてくる。

「拓海くん…?」

「やっぱ諦めらんねぇ…。いくら崚馬くんの彼女でも、優梨だけは手に入れたい…」

拓海くんは震えた声でそう言う。

「拓海くん…ごめ「なぁんてな!」

拓海くんは私の言葉をよぎる。

「忘れて!俺は新しい恋を見つけてやる!」

拓海くん…。

次の日、崚馬さんが学校に来ていなかった。

「崚馬さんは…?」

生徒会室で矢神さんにそう聞くと矢神さんは考え込む。

「まっ喧嘩でもしてんじゃね」

「えっ?」

「あいつ嫌なことがあると喧嘩でストレス発散すんだよ。なんかあった?」

「何もないですよ」

「じゃあ…寝てるとか」

電話しても出ない。

私は不安になり授業が頭にはいらなかった。