崚馬さんは隅にしゃがんで泣いていた。

「崚馬さん…」

私はそっと崚馬さんを抱きしめる。

「優梨…ごめん…」

崚馬さんは何度も謝っていた。

落ち着いてきた崚馬さんは話し出す。

「夏美は…いつも笑顔で…最初から俺らのことなんて全然怖がってなくて…真面目で…友達思いで…天然で…いつも俺らにくっついてくるバカだった…」

私は黙って聞く。

「いつもみんなで学校サボってたのに…あいつがいるから毎日学校行くようになって…みんな夏美のことが好きだった…夏美を賭けてみんなでタイマンはったのに…あいつは全員ビンタしてとめた。夏美は…俺のこと好きになってくれて…毎日毎日一緒にいたのに全然飽きなくて…。でも、付き合って1年の記念日に…俺が高校生のやつに喧嘩売られて…喧嘩してたら…あいつ…俺のこと探してる途中で…事故に巻き込まれて………死んだんだ」

いつの間にか私の頬を涙がつたっていた。

「優梨…ごめんな…最初はなんとなく夏美に似てたからほっとけなかったんだけど…今は優梨自身が好きなんだ。俺は夏美のことは忘れない。あいつがいたから今俺はここにいるんだ。ごめんな…。優梨のことはマジで好きだから」

「うん。ダメだよ。夏美さんのこと忘れちゃ」

「ありがとう」