三年の教室につくと崚馬さんは1人の男子を殴っていた。

馬乗りになって何度も何度も殴る。

男子は顔が腫れ上がっていて抵抗する力もないのかぐったりしている。

先生も叫んでいるだけで手に負えないようだ。

みんな教室の隅に寄って目をつむっている。

「崚馬さん!!」

崚馬さんは私の声も聞こえていないようだ。

「崚馬さんやめて!!」

私は崚馬さんに後ろから抱きつく。

崚馬さんはまだ殴ろうとする。

「崚馬さん…」

怖くて涙が溢れてきた。

崚馬さんはすっと立ち上がる。

「崚馬さん!?」

崚馬さんに突き飛ばされ私は転んだ。

痛いよ…。

崚馬さんはガラスを割る。

「いい加減にしろ!!」

丹羽さんが叫ぶ。

「てめぇ…大事な彼女突き飛ばして…何やってんだよ…。クラスメート殴って気が済んだのか!!夏美はもういねぇんだよ!!名前聞いたぐらいで暴れてんじゃねぇ!!」

丹羽さんは崚馬さんを殴る。

崚馬さんは少しよろけたが丹羽さんを睨みつけると丹羽さんを殴った。

丹羽さんは負けじと殴りかえす。

「目ぇ覚ませ!!」

いつも冗談ばかり言っている丹羽さんが怖い顔で怒鳴っている。

「うるせぇ!!ほっとけよ!!」

「ほっとけねぇよ!!俺らダチだろ…?」

「ほっといてくれよ…」

崚馬さんは涙声でそう言うと歩いていく。

「崚馬さん!!」

私が崚馬さんを追おうとすると丹羽さんがとめる。

「今は近寄らないほうがいい。1人にしてやって…」

それからすぐに救急車が来て殴られた男子生徒は運ばれた。

女子のほとんどが涙を流している。

それほどさっきまでの崚馬さんは怖かった。

「やっぱり私…崚馬さんのところに行ってきます」

「ダメだよ」

「でも私…崚馬さんの彼女だから」

私は屋上に走った。