昼休み、沙羅と弘樹も一緒にみんなで屋上でご飯を食べる。

沙羅は龍治さん龍治さんと龍治さんに話しかけまくっている。

「そういえば優梨、今日遊助と一緒に来てたよな!もしかしてよりもどしたの?」

弘樹がいきなりそんなことを言い出す。

「は?」

崚馬さんは怖い顔でこっちを見る。

「たまたま会ったの。遊助…真理子ちゃんのことで悩んでるみたいだから…相談にのってて…」

「今度そんなことあったら遊助っつぅやつぶっ殺すからな」

「ごめんなさい」

「付き合ったんだ」

矢神さんが冷静にそう言う。

「まぁな!」

崚馬さんは笑顔になる。

「えぇ!!そうなの!?」

弘樹は大袈裟なリアクションをする。

「え〜俺が優梨ちゃんと付き合いたかったな…」

丹羽さんがそう言うと沙羅がむっとする。

「人の女口説くな。この遊び人!」

「遊んでるわけじゃないよ〜。誘われるのに断ったらかわいそうでしょ?」

「そういうのを遊び人っつぅんだよ。そうやって誰にでも優しくしてたら痛い目見るぞ」

「優しいことは良いことでしょ。あっ電話」

丹羽さんは電話をしながら歩いていく。

沙羅の顔があまりにも悲しそうで見てられなかった。

そのまま丹羽さんは戻ってこなかった。

私は放課後、誰もいない教室で沙羅と話していた。

「矢神さんに言われたんだけど…丹羽さんはやめたほうがいいよ」

「…」

「丹羽さんは誰にでもああやって同じように振る舞うんだって。悪く言えば女の子なら誰でもいいの。沙羅が…傷つくのは嫌」

「ありがとう。でももう私の中は龍治さんでいっぱいなの…。もう少しアタック頑張って…当たって砕けるよ」

「そっか…頑張って」

「うん。優梨…言うタイミング逃したけどおめでとう」

崚馬さんと付き合ったことかな。

「ありがとう」

「優梨?」

ドアから崚馬さんが顔を覗かせる。

「崚馬さん」

「帰んねえの?」

「今帰ります」