「龍治は女なら誰でもいいんだ。誰とでもああやって手繋いでデートするし、相手が求めるなら何でもするんだ」

「そんな…」

「慎司がそんなこと言うなんて珍しいな!」

崚馬さんだ。

「優梨の友達だからね。傷つくのはあの子だし」

「わかりました」

「そういや拓海こねぇな」

崚馬さんはそう言うと電話をかける。

「出ねぇ…」

「私、探してきます!」

私は教室に行く。

拓海くんがいないので靴を見に玄関に行くと靴はある。

私は屋上に行ってみた。

柵によしかかって下を見ている拓海くんがいた。

「拓海くん!」

「…優梨」

私は拓海くんの隣に並ぶ。


「何してるの?崚馬さん心配してるよ」

「わりぃ。ちょっと考え事」

「私じゃ…言えない?」

「…志帆のことなんだ。俺、中学の頃あいつと付き合ってて…」

「聞いたよ」

「そっか。俺はもうあいつのことは好きじゃねぇんだ。他に好きなやつがいるから…」

拓海くんは私を見る。

「別にあいつと友達に戻ってもいいんだけど…。たぶんあいつは俺のこと好きだから期待させるようなことはしたくねぇ」

「拓海くんが志帆ちゃんのことまた好きになる可能性はないの?」

「俺いますっげえ本気で好きなやつがいるからさ。可能性はないかな」

「そっか…。でもたまに話したりする友達くらいにはなってあげられないかな」

「…わかった。ありがとな」

拓海くんはすっと私の頭に手を乗せるとチュッとおでこにキスをした。

え…?

初めてそんなことをされ私は真っ赤になってしまった。

「拓海!!何してんだよ!」

いつの間にか矢神さんと崚馬さんがいて崚馬さんはずかずかとこっちに歩いてくる。