「え?」

遊助から話しかけてきたのに…。

きっと遊助が話しかけてくれなかったら私は逃げていたかもしれない。

「遊助は私を選んだんだから。あなたにもう望みはないわよ。今度近寄ったらただじゃおかないから」

真理子ちゃんとすれ違いで拓海くんが来た。

「みんな屋上で待ってるぞ」

「うん」

「つぅかあれ高津の彼女じゃねぇの?」

拓海くんが真理子ちゃんの背中を見ながら言う。

「うん。さっきちょっと遊助と喋ってて…」

「えっなんで?」

「たまたま会ったの」

「そっか…」

私は拓海くんと屋上に行ってみんなでご飯を食べた。

放課後、帰る用意をしていると目立つ金色の髪が教室の前に立っていた。

「崚馬さんどうしたんですか?」

「デートするっつったろ。行くぞ」

「えっ」

本気だったの?

助けようとしてくれただけじゃなかったんだ。

「…嫌?」

不安そうに聞いてくる崚馬さんが可愛くて私は首を横に振っていた。

「優梨!…あ」

崚馬さんと並んで廊下を歩いていると遊助が声をかけてくる。

崚馬さんの存在に気づいて遊助は気まずそうな寂しそうな顔をした。

「わり…なんでもない」

「…ばいばい」

「あぁ…」

遊助は教室に戻っていく。

「なんだあいつ」

私は真理子ちゃんがこっちを見ていることに気づいて笑顔で崚馬さんに話しかけた。

それから崚馬さんと街をぶらぶらしているとあっという間に暗くなってしまった。

崚馬さんは家の前まで送ってくれる。

「今日はありがとうございました。楽しかったです」

「なんか悪いな。強引に誘っちまって」

「いえ」

心のどこかでまだ一緒にいたいなんて思っている私。

「まだ一緒にいてぇけど…親が心配するもんな」

同じこと思ってくれてたんだ…。

「じゃあまた明日な」

「はい」