「…今日しめた2年さ、中学から知ってるんだ。だから俺のこと結構知ってて…親のことちょっと言われただけ」

崚馬さんは寂しそうな目で笑う。

そういえば親がいなくなったって…。

「中2の頃、母親が死んだんだ。親父は昔から厳しくて…世間体ばっか気にするやつで…。母親が死んだとき俺家出して大喧嘩になって…親父が出て行った。今はばあちゃんに金もらって1人暮らししてる。まぁばあちゃんも俺が死んだら親父のせいになるから金だけくれてるだけなんだけど」

寂しそうな崚馬さんを私は思わず抱きしめた。

「崚馬さんは1人じゃない…」

「優梨…ありがとう。俺は大丈夫だよ」

「無理しないでください。崚馬さんが言ったんじゃないですか」

「…そうだな。でもあんまかっこわるいとこ見せたくねぇし…」

「かっこわるくないです」

私は静かに涙を流す崚馬さんをいつまでも抱きしめていた。

次の日、私たちは3人で登校した。

「ねぇねぇ私今日も生徒会室行きたい!」

「じゃあ一緒に行こっ!」

「丹羽さんに惚れちゃった!」

「そんなのやめとけよ!」

「なんで弘樹にそんなこと言われなくちゃいけないのよ」

私たちは朝から生徒会室に行った。

「優梨!今日デートしねぇ!?」

いきなり拓海くんが私の肩をつかんでそう言ってくる。

「えっ…」

「ダメだよ!優梨は今日俺とデートする約束してんだから」

崚馬さんが私の肩に手を回してそう言う。