やっと解放されたと思って肩の力が抜ける。
でも簡単には逃がしてくれないのが、彼という人だ。

「酔った勢いで襲われるなよ?
危なくなったら助けにいくから」


すれ違いざまに気障な台詞。
しかもあたしの耳元でささやいたりして…

またそうやってあたしのこと繋ぎ止めるんだから。
直人はずるいよ。


振り向いたときには、すでに直人はマンションの外に出てしまっていた。