「お前が勉強してるなんて珍しいな」

そう呟きながら、同じ学科の岩崎が隣に座ってきた。

岩崎宏介は、あたしがこの学校に入学して初めて話した人。
でも特別仲がいい訳じゃない。
あいさつする程度の仲だ。
彼は考えることもやることも幼いけど、直人同様に頭と顔だけはいい。


「うるさいなぁ…」

そんな普段あいさつしか交わさない奴にいきなり話かけられたから、正直あたしは動揺していた。