まわりで見ていた男の子たちはその子を見てこう言った。




「マジお前って暗いよな。」





「見てるだけで吐き気する。」




「気持ちわり。」





「行こうぜ。」





男の子たちがどこかに行ったあともそのままうずくまっていて、あたしはすぐに駆け寄った。





「…………あの、大丈夫ですか?」






男の子は声を掛けられ一瞬ビクリとしながらも、ゆっくりと顔をあげた。




目が隠れるくらい長い前髪に、度のキツいメガネ。





「はい…」





なんだか瞬間的にあたしと似てるなって…そう思った。




あたしは散らばった教科書やノートを拾いながら、




「あたしもよく暗いって言われます……一緒、だね。」






そう言った。




同情したわけじゃない。


なぐさめたかったわけじゃない。




ただ、本当に、



一緒だなって思ったの。





「え………?」




全部拾い集めて、その子に手渡した。




「はい。これ…。」





「あ……ありがとう……」





あたしが「どういたしまして」ってニッコリ笑ったら、その子もニッコリ笑ったんだ。




その子の名札に書かれていた名前は………










「佐々木……修平…………。」