「俺はずーっとずーっとひまりを見てたんだよ?ひまりだけを見てきた。中学に入る前からずっと。テレビに出る前からずっと。男子にイジメられて学校に来なくなる前からずっと、ね。」







「……………え?」







「ほんとに覚えてないって顔だね…。これなら…思い出すかな。」





そう言うと修平くんはポケットからメガネを出して掛けた。





……………あれ





この顔…………





どこかで………………









「俺んち、中学入る前に離婚してさ、今は母親姓の西宮だけど、中学入る前は佐々木だったんだよね。佐々木修平。」






佐々木………




修平……………













頭の中の回路が小学生の頃の記憶とカチッと繋がった。








そうだ。



あの日は彩ちゃんが委員会に出なくちゃいけないからあたしはひとりで帰ることになったんだ。



「ごめんね、ひまり~。約束してたのに…」



「ううん!大丈夫だよ!委員会頑張ってね。」




彩ちゃんと別れたあと、下駄箱に向かって歩いていたら廊下に男の子がうずくまってたんだ。


ランドセルから教科書やノートが飛び出して廊下に散らばってた。