声が聞こえる




「月代」




あたしの名を呼ぶ優しく柔らかいこの声は間違いなくあの人のもの。





夢に見る彼女は黒い衣服に身を包み、あたしを見下ろしながら優しく頭を撫でる。





そう、そして向こう側から一人の老婆が私に歩み寄って呟くのだ。









「つき…は本当に……てないねぇ…」