俺は断じて、『女たらし』じゃない。

断じて。

嘘ついて、女誘ったことなんてねぇし。

もて遊んだ覚えもねぇよ。

いつだって相手の立場を考えて、みんなんが幸せになるようにって…

嗚呼、

だからいけねぇのか?

もっと強引に、自分の気持ちを押し通して、

あの時だって、

『嫌だ、俺は別れたくない』

そう言って、抱きしめればよかったのか?

さっきだって、

頬じゃなくて、唇にキスして、抱きしめて、無理やりにでも、あの娘の頭の中から忍を追い出しちまえば良かったのか?

忍のことを話すと、嬉しそうに笑って、俺と楽しげ話をしてくれた渚ちゃん。

嗚呼、忍はこんなにこの娘に想われてるんだって、正直悔しかった。

こんな可愛い渚ちゃんに、告られて、キスまでして、なのに、泣かせるなんて……

友人としての忍は、頼り甲斐があって、面倒見が良くて、全くもっていい奴なんだが。

女に関しては、ウブ過ぎて、罪作りな奴。

チームのキャプテンとしても、統率力と決断力を備えたできる奴。

決して奢ることなく、奴自身が努力家で、誰よりも多くの時間をサッカーに費やしている。

だからさ、
奴がいくらウブで、女に対して抜けてるからって、

あんないい奴、裏切れねぇよ。