こいつ、最近、妙に色っぽいな。

「なぁ、ナギサ、お前、ホワイトデーのお返し何がいい」

なんか言わなきゃ間がもたねぇ……

俺は『ケジメ』の一語を頭に浮かべながら、後先考えず渚にに問いかけてみる。

「えっ、なに?」

何をそう驚いたんだか、渚が慌てて皿を落としそうになる。

「何って、お返し。何がいい?」

「何言ってんの? シノブいつもそんなこと気にしたことないじゃない。
らしくないことしなくていいよ」

渚の声が微かに震えているように聞こえるのは、俺の気のせいか。