「なに? またため息? なんか問題でも?」

「あのなぁ、指輪もいいけどよぉ、ペアリングすりゃいい、ってもんじゃないんでないの?」

「シノブくん、いいところに気が付きましたね!」

ヘラヘラ笑う敦に、またむっとする。

「だいたい、お前の小指のそれはなんなんだよ」

「まぁ、ペアリングすりゃ別れない、って保証はない。
ようはお前の気持ちの問題だな。
ナギサちゃんを喜ばせてやりたいとか、大切に思っていることを伝えたいとか、口下手なお前の、まあ言わばお守り?みたいなもん?」

確かに、敦の言うことにも一理ある。

あんなこっ恥ずかしいもんを付けることで、渚が安心してくれるなら、渚が喜んでくれるなら、安いもんかもしれねぇなって。

「わかった。ナギサに聞いてみる。まぁ、いらねぇって言ったら、その時は諦めろ」

「はい、はい、そう言うことにしときましょうね」

俺はどっちでもいいんだけどね、と、やっぱりヘラヘラ笑う敦。

お前のせいにするくらいいいだろ、この馬鹿野郎が。