「なんだ、左の薬指じゃなきゃ、大した意味ねぇじゃん」

俺はその曖昧な説明に、なんか気持ちがスッキリしない。

「ま、ちなみに俺は左手の小指が好きだな。
邪魔んなんねぇし。
確か、願いが叶うとかいう意味があったような気もするし」

と、かざした敦の左手小指には、成る程、銀に金のラインが一本入った、シンプルな指輪がはめられていた。

「なんだよ、これは?」

「あ、これ、元カノとのペアリング。気に入ってるから付けてんの」

信頼はしているが、やっぱり時々こいつという人間がわからなくなる。

で、ペアリングに何の意味が?
婚約するわけじゃあるまいし、カレカノの指輪に何の意味が?
単なるおまじない?

俺はまた、一つため息を付いた。