「電波じゃないでしょうか。電波系の電波ではなく、現実の、何MHzとかの。あのアンテナ少女が無線なりゲリララジオなりをやっていて、なにかの条件がそろって金属片やポテチの袋がその電波を拾ってるのでは?」

「ふふん、ディ・モールト良い。だとしたらさ・・・」

ボスはサングラスをクイッとかけ直した。

目は見えないが、たぶん笑っているのだろう。

うれしそうな様子が、声の調子から伝わってくる。

「俺たちも、あっち側の世界に半分足をつっこんだってことさ。ポテチの袋が電波を受信してメッセージを届けるなんて話、誰が信じる?」

返すべき言葉が見つからなかった。

「ねえケンちゃん。コンソメってそもそもなに?」

完全に自分の疑問の世界に没頭しているらしいヨドミちゃんがボスを見上げて聞いた。

「・・・ヨドミ、もう一度言うけどお前は・・・」

「一生めんどう見てッ!」

・・・この子は最初っから半分くらい別の世界に足を突っ込んでいるのだろう。