ボスはヨドミちゃんからポテチの袋をひったくると、両手で口を広げて中を覗いた。

「・・・どのポテチがしゃべった?」

ボスは袋の中のポテチに聞いた。

直前の状況を知らずに今のボスを目撃した人は、間違いなく彼を不審者と捉えるだろう。

俺は周りを見回して、俺たちの近くに他に人がいないのを確認した。

離れた場所で立ち話をしている若い、ベビーカーを押しているママさんたちはいるが、ここまで、しかもあれほどはっきりと声を届かせる距離ではない。

「うーん、どのポテチも普通のポテチだな。人間の言葉を話せそうな奴はいない」

「あたりまえですよ。でも・・・空耳かと思いたいですが・・・」

俺の迷いを打ち消すように、

「はっきり聞こえちゃったね。しかも、ポテチの袋から」

とヨドミちゃんが声の存在を認めた。

妙な空気が三人に流れる。

これがまさか・・・

ボスの携帯が鳴った。