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「まってよぉー、もうー」

ヨドミちゃんが追いついてきた。

「飛んだって、ここから、あっちに、ですか?」

俺は息も絶え絶えに聞いた。

「ああ。ジャンプしたよ・・・信じらんねぇ・・・」

まったくだ。100パーセント信じられない。

俺の表情を読み取ったのだろう。

「嘘じゃねえ・・・飛んだんだよ。まあ、見てねえ人間に信じろってのが無茶なのはわかってるがな。他に目撃者いねえかなー?」

ボスにつられて周りを見渡すが、いつのときでも、怪奇現象の目撃談がそうであるように、他に証人となりそうな人はいなかった。