古い木造建築2階建てのアパートの一室で、慎ましやかな生活を送っているだけの俺を時代の波は飲み込んだ。

年末に仕事をなくした俺は、年始早々から年賀状がわりに求人募集に履歴書を書き送った。

俺の履歴書はシンプルであるが故に美しい。

だが、資本主義に毒された社会は美しさを理解し得ないのだろうか。

俺の履歴書は書類選考の段階で担当者の左脇のボックスに入れられるらしく、ことごとく返信は無かった。