ギャラマサが立ち止まり、

「そこゆく娘」

と、酸素ボンベを口からはずしてアンテナ少女に言うのが、俺たちにも聞こえた。

「あちきのことかえ?」

アンテナ少女も立ち止まって答える。

思わぬ光景に俺たちはその場に固まった。

「ここらへんで、頭にアンテナをつけた少女を、見なかったか?」

ギャラマサが質問した。

アンテナ少女は軽く首をかしげて、

「この界隈で、そんなとんがた娘っ子は見かけないねぇ。東京にでも行けばいるんじゃないかねぇ」

と答えた。

「ここは、東京じゃ、ないのか?」

「あれまあ、旦那さん。ここは神奈川県だよぉ」

アンテナ少女は口元を手で押さえてクスクス笑うと、ギャラマサをそれ以上相手にせず、彼の横を歩いていった。