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 アンテナ少女から隠れるように、本棚の後ろに回りこんで、ボスにメールを打つ。

すぐさまヨドミちゃんが小走りに駆け寄ってきた。

着信音が鳴らないよう携帯をマナーモードにして、

「さて、なんて命令されるか」

と思わずつぶやいた。

また、声かけろ、とでも言われるとやっかいだ。

そうなったら今回はヨドミちゃんに頼もう。

しばらく、本棚の端に身を寄せて本を読むふりをしながら、アンテナ少女の後姿を観察した。

「ユウちゃん、お・く・て」

ヨドミちゃんが小声で俺をなじりながら、なにやら自分の携帯をいじっている。

とりあえず、今は相手にすまい。