「アンテナ少女だ」

俺の声に、ヨドミちゃんも振り上げていた手を止め振り返る。

図書館に入っていく、不自然に髪の毛の一束を天に突き立てた少女の後姿が俺たちの目に映った。

急いで会計を済ませ店を飛び出した俺たちは、アンテナ少女を追って図書館に入った。

彼女は、この前の、あの席にいた。

二人で、図書館入ってすぐのフロアーに立ち止まりアンテナ少女を見る。

「ユウちゃん、チャンスだよ」

ヨドミちゃんが小声で言った。

「なんの?」

「なんの、って・・・鈍感は時に罪よ」

ヨドミちゃんをその場に置いて、座っているアンテナ少女の横を通り過ぎながら本を覗き見た。

「豆腐料理108手・おなかの中まで白く染まれ」を読んでいた。