ギャラマサのアパートを線路ではさんだこっちがわの通りに着き、アンテナ少女のマンションに向かいながら、彼のアパートのベランダを振り返った。

一着の全身ウェットスーツと、小さい何かを干してある。

「はい、どーぞ」

ヨドミちゃんが双眼鏡を渡してきた。なるほど、探偵の助手だ。

ヨドミちゃんの手をほどいて双眼鏡を当て、真昼間から他人の家を覗き見する。

やむをえまい、これも仕事だ。

俺は厚いレンズ越しに見た光景に、ちょっと嫌なものを感じた。

ウェットスーツの横で、子供服が緩やかな風になびいていた。

「私にも見せてー」

俺に続いてそれを見たヨドミちゃんは、

「ギャラマサって、バツ一?」

と俺に聞いてきた。