フランは苦々しい面持ちで部屋の奥へと消えると、2枚のカードキーを手に戻ってきた。

「リディア様がそこまでおっしゃるのなら、いいでしょう。 

カードキーをお貸しいたします。

念のため、私は4階の制御室のモニターでもしもの時の為に待機させていただきます。

格納庫内で、もし何かの異常が発生した場合は、こちらの赤いカードを格納庫にある赤い扉に差し、非常口より屋外へ避難願います。

後の処理はこちらで全てさせていただきますので。」


「分かったわ。ありがとうフラン。」

リディアはそれを受け取ると、ケインと共に研究室の奥にある小さなエレベーターに乗った。


地下深くにあるジプサムの格納庫へ向かうエレベーターの中で、リディアは幼い頃父親アルフレッド3世とここへ来た時の事を思い出す。









ラドニアの全てのエネルギーの核となるジプサム。

リディアの記憶の中にあるその巨大で透明な鉱石は、眩いばかりの青緑色の光を拡散させていた。

その光を全身に浴びた時から、リディアの中にある形を成さない何かがざわめき始めたのだ。