しばらくして、リディアは擦れた声で話し始めた。


「怖かったの・・・。

急に、今までに聞いた事が無いくらいの沢山の大地の声が聞こえてきて、何かわからない大きな力が私の心を持っていったの・・・

気がついたら、足が勝手に動いていて・・・

でも、私はまだ、そこへ行くのが怖くて・・・

怖くて・・・

だって、私はまだそれを受け入れられない・・・から・・・

でも、行かなくちゃいけないって、力が・・・力が・・・」


ユウリは、ライトの言葉を思い出していた。

『憎しみを持った状態で覚醒したら、リディアは力をコントロール出来なくなってしまう・・・』


(憎しみ・・・か・・・)


ユウリはリディアを胸に抱いたまま、訊ねる。



「なぁ、リディア・・・」


「ん?」


「お前の大切なモノって、何だ?」


「大切な・・・モノ・・・」


「思い出せない・・・か。」